これからだんだんと、雨が多くなる季節を迎えます。雨の日はジメジメした気分になりがちですが、特に梅雨どきになると体の不調を感じる人が多くなるといわれています。
漢方薬剤師で国際薬膳師の山口りりこさんは、雨の日の湿気が胃に負担をかけるために梅雨どきは体調が悪くなりやすいと解説します。
「胃では消化活動が行われていますが、その際、食べたものから体の潤いのもととなる水分の吸収と排泄をしています。その水分が全身をめぐることで体のさまざまな機能が維持されるのですが、雨で湿気が多くなると水はけが悪くなるため、胃の消化活動においてもうまく水分を取り出せなくなり、体内の水分のめぐりも悪くなって不調が起こるのです。こうした体の状態を、漢方では『湿邪(しつじゃ)』と呼びます」(山口さん)
湿邪の状態で起こりやすい症状は、体が重だるい、頭痛、むくみ、足先の冷え、下痢、肌荒れなど。こうした症状を予防するためにも、梅雨どきは体内の水分のめぐりをよくする食材を積極的にとることがおすすめです。
「これから夏までの時期は、香りのいい食材を多く取り入れてください。シソ、ショウガ、ネギ、タマネギ、山椒、唐辛子、かんきつ類の皮などの香りのいい食材は、体を温めて停滞した水分を発散する働きが期待できます。また、エンドウマメやサヤインゲン、アズキといった豆類や、アスパラガス、トウモロコシなども湿邪対策にぴったりです」(山口さん)
もうひとつポイントとなるのが、調理法です。油分は体内の水のめぐりを妨げるため、梅雨の時期は揚げものや炒めものなど、油を多く使う調理法は極力控えましょう。また、刺身や生野菜などの生ものは、胃を冷やして湿邪を悪化させる場合があるため、できるだけ避けたほうがいいそうです。
「魚も野菜も、できるだけ煮る、蒸す、ゆでるなどして火を通し、さっぱりした料理で食べるのがいいでしょう。どうしても生ものをとりたい場合は、生野菜にはショウガやタマネギのドレッシングをかける、お刺身には必ず薬味を添えるなど、香りのいい食材と組み合わせ、さらに温かいスープやお茶も一緒にとってください」(山口さん)
梅雨どきに体内の水のめぐりを整えておけば、梅雨が明けて夏が来ても夏バテしにくくなります。上手に食材を組み合わせて、雨の日もすこやかに過ごしてください。
以 上
監修者
山口りりこさん
漢方薬剤師(中医薬剤師)、国際薬膳師。銀座の薬膳レストラン「kampo's」プロデューサー。星薬科大学にて薬剤師免許を取得し、遼寧中医薬大学にて国際中医師、国際薬膳師を取得。漢方薬局の薬日本堂をへて、現在は薬膳レストランの監修をメインに商品開発やエステのメニュー監修などに携わっている。
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