安全な運転をするためには、体調が及ぼす影響にも注意が必要です。疲れていたり、風邪などで体調が悪いときの車の運転は、注意力や集中力が低下したり、動作が荒くなったりして、事故につながる危険性が高まります。そこで今回は、疲労を中心に体調と運転について考えてみることにしましょう。
<疲労が運転に与える影響>
疲労は運転に次のような影響を及ぼします。
・疲労の影響は「目」に最も強くあらわれるといわれています。
そのため、運転にとって重要な「見る」ことの正確さが失われ、
見落としや見誤りが増えるおそれがあります。
・疲労は意識水準を低下させます。注意力や集中力の低下から、
漫然運転の状態に陥ったり、最悪の場合は、「居眠り運転」を招くおそれが
あります。
・ハンドルやブレーキ操作などが雑になり、正確さに欠けるようになります。
また、ちょっとしたことでイライラしたりカリカリしがちなため、運転が荒くなり
やすくなります。
・疲労時は反応が鈍くなるため、危険を認知して判断するまでに時間がかかり
「空走距離(危険を感じてからブレーキを踏み、ブレーキが実際にきき始める
までの間に車が走る距離)」が長くなる傾向があります。
<疲労のサインを見逃さない>
疲労は気づかないうちに蓄積されていきますから、運転中に次のような状態が
あらわれたら、疲労のサインと考えて安全な場所で停止し、休憩をとりましょう。
・あくびの回数が増える。
・瞬きの回数が増える。
・目がチラチラし、まぶたがビクビクする。
・目がショボショボする。
・肩が凝ったり、足や腰が重くなる。 ・頭が重くなったり、痛くなったりる。
・前方だけに意識が向き、側方や後方を注意するのがおっくうになる。
休憩をとっても、疲労が軽減されないときは、運転を切り上げることも必要です。
<疲労防止のポイント>
■十分な睡眠と日常の健康管理
疲労の大きな原因の一つは睡眠不足ですから、まず十分な睡眠時間を確保することが基本です。加えて、過度な運動や暴飲暴食は避ける、車を運転する前日の飲酒はほどほどにするといった日常の健康管理も大切です。また、疲労の原因が風邪などの疾病にある場合もありますから、疲労がなかなか抜けない、疲労の感覚がいつもと違うと感じたときなどは、医師に相談するのもよいでしょう。
■無茶な運転をしない
スピードの出し過ぎや強引な追越し、対向車の直前の右折などの無茶な運転は、緊張を高め疲労をもたらす原因となります。また、イライラ運転や先急ぎの運転なども疲労を早めますので、常に余裕のある気持ちで運転することが大切です。
■疲れを感じる前に休憩をとる
ドライブなどで長時間の運転をするときは、休憩のとり方が大切です。疲労があらわれてからの休憩では、からだが回復するのに時間がかかるといわれています。疲れていないから休憩する必要がないと考えるのではなく、疲れないために休憩するのだと考え、早めに休憩をとり、軽く体操をするなどして、からだを動かすようにしましょう。
<風邪などで体調が悪い時は運転しない>
風邪などで体調が悪いときに無理をして運転するのは危険です。発熱しているときはもちろんですが、発熱していない場合でも、咳やくしゃみが出るようなときは、運転に集中できないだけでなく、咳やくしゃみが出るたびに、周囲に対する注意が欠け信号を見落としたり、前車の停止に気づくのが遅れる危険性や、運転操作が不正確になるおそれがあります。そのようなときには予定を変更するなどして、運転はなるべく控えるようにしましょう。
◆薬の服用についての留意点
風邪や花粉症などで薬を服用する場合、薬のなかに眠くなる成分が入っているものがありますから、医師や薬剤師に相談し、車を運転しても支障がないかどうかを必ず確認しましょう。