気候変動に関する国際的な政府間機関「IPCC」※が昨年度、新たに地球温暖化について発表した報告書をご紹介します。「IPCC評価報告書」は1990年以降5回にわたり発表され、地球温暖化に関する国際的な取り組みに科学的根拠を与えるものとして重要な役割を果たしており、日本を含む195カ国が関わって作成しています。
◆第5次評価報告書の概要
(1)気候システムおよび気候変動についての評価
・20世紀半ば以降の温暖化の主要因は、人間活動の可能性が極めて高い(可能性95%以上)。
温暖化については疑う余地がない。
・大気中の温暖化ガスは、過去80万年間で前例のない水準まで増加。
(2)生態系、社会・経済等の分野における影響および適応策についての評価
・気候変動が、全世界において生態系・人間社会に影響を与えている。
・深刻な影響の可能性として、高潮、洪水・豪雨、熱波による死亡・疾病、インフラ機能停止、
食糧不足・水不足、生態系損失といったリスクが予測される。
(3)気候変動の緩和策についての評価
・追加的な緩和策がとられない場合、2100年の世界平均気温は、産業革命前と比較し3.7℃~
4.8℃上昇。低炭素エネルギーの割合を引き上げる必要あり。
温暖化の進行がより早く・大きくなると、生態系、社会・経済等の分野において、適応の限界を超える可能性があります。政治・経済・社会・技術的システムの変革により、効果的な適応策・緩和策をとることで、レジリエント(強靭)な社会の実現と持続可能な開発が促進されると報告されています。
IPCCによると、気候変動(地球温暖化)は疑う余地がない状況で、高潮・洪水・熱波による死亡・疾病等、損害保険・生命保険業務と関係あるリスクの高まりが予測されています。
近年、気候変動(地球温暖化)の「緩和策」とともに、気候変動による異常気象の「適応策」(損害の防止・軽減策)が注目されています。持続可能な社会構築のため、リスクソリューションや新たなビジネスを支援する商品・サービスの提供がより一層求められています。
※「IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)」
1988年に設立された国連組織(ジュネーブに事務局)。
2007年にノーベル賞を受賞。各国政府、世界の研究者・専門家が参加、
地球温暖化に関する最新の科学的・技術的・社会経済的な知見を
集め評価し報告書を発表しています。